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どーも。

eeic走馬灯

君は今まで受けた授業の数を覚えているか?

qiita.com

気づけばもうM2で、上手く行けばもうすぐ卒業できます。eeicに入ってから今まで色々なことがありました。eeicは授業と課題が多いことで有名です。eeicで取得した単位数は実に90単位以上に登ります。惜しくも100単位に足りません…が、そのうち一体どれくらいが本当に役に立ったのか…?

M2になり、もうすぐ卒業というところで一度振り返ってみたいと思います。あくまで個人的な感想ですし、デバイス畑の人はもっと違う感想だと思います。それに無論人生は長いのであくまで「今のところ」ではあります。

B2・B3の皆さんなんかは、「こんなに授業取ってホンマに全部使うんか?W」と思っているかも知れません。差し迫った問題意識がないと人はだいたいあまり勉強しません。eeicの授業をただ惰性で受けていてもあまり身につくことはないでしょう。僕ももう少し勉強しておけばよかったと思ってこの記事を書いています。これを読んでもう少し勉強しようという気分になってもらえれば嬉しいです。

一応自己紹介をしておくと、

をしていました。

あくまで個人的な感想だったり、あまり真面目に出ていなかった授業もあるので話半分に読んでもらえると幸いです。

4学期

eeicに配属され頑張ろうという気持ちでいっぱいだった駒場時代。twitterで特定に励むオタク、1108部屋の密度にキレるオタク、うま信構文の誤用にキレるオタク、今となっては全てが懐かしい。あの頃は楽しかった…(遠い目)

生命科学概論

マジで何も覚えてない。オムニバス形式だった気はする。初っ端から本当に申し訳ないが何も覚えていない…

電気磁気学

いわゆるマクスウェル方程式などの電磁気に関する基本的な内容を学ぶ講義だったはず。僕自身は情報系のつもりでいたのであまり真剣に受けていなかったが、今は結局電磁気っぽいことをやっているのでもう少し真面目に勉強しておけばよかった。毎回課題が出て優秀なシケ対に教えてもらってた。

僕の卒論が磁界共振結合型無線電力伝送で、特に表皮効果に関係する分野だったので使っていた。あとは一時期電磁界シミュレータの研究をしようと思っていたことがあり、その時には必死にマクスウェル方程式の記憶を捻り出していた。

数学1D

オカタカシ。数学系の講義はどこで何をやったか忘れがち。変分法とか汎関数とか、微分方程式を行列を使って解いたりしたような記憶があるが定かではない。物工とかとの合同の講義で部屋が広いのでめっちゃtwitterしてた。

変分法は、一時期電磁界シミュレータの研究がしたくてサーベイをしていたときに有限要素法の勉強をしていて出てきた。微分方程式は今のところあまり研究では解いていないかも…

数理手法V

あんまり記憶にないがひたすらランダムウォークの話をしていたような気がする。今受ければもっと楽しめるのかもしれない。

情報通信理論

情報量とかエントロピーとかの話をやった気がする。

情報量は本当に色んな所に出てくる。エントロピー機械学習とかをやろうとすると出てくる。誤り訂正符号とかの話も信号処理の研究を聞いたりするとしょっちゅう出てくる。全体的によく出てくる。

電気電子計測

デシベルとか四端子法とかオシロスコープの原理とか、計測に関する話をざっくり ゆたかに やった。内容が盛りだくさんなので一つ一つを深くやる余裕があまりないのが残念だったけれども、テキストはとても良いリファレンスで実験のときにとてもお世話になった。誰かが授業終了5分前くらいに弁当を買いに行こうとして先生に咎められていた。

前期実験で一番よく使った気がするが、今の研究がネットワーク・アナライザやオシロを使ったりしているので出てくる。デシベルが分からない人はもぐりです。

信号解析基礎

ひたすらフーリエ変換を学ぶ。

この授業を含めてフーリエ変換の講義を何度受けたかわからない。でもどの授業でも違う教え方をしたりするので面白い。フーリエ変換は本当にあらゆる分野で出てくる。

電気回路理論第一

回路方程式を解いたりした。フーリエ変換/ラプラス変換とか伝達関数の行列とか影像インピーダンスとか三相交流とかとにかく電"気"回路に関する基礎をとりあえず全部やった。

無線電力伝送しているので常に使っている。F行列(海外ではABCD行列と呼ぶらしいですが)とかZ行列/Y行列とかは知らないと死んでた。Sパラメータが出てきた記憶がないが(やったのかもしれない)Sパラメータも計測をするなら必須なのでこの授業でやったほうが良いと思います(誰に向かって言ってるんだ)。

電子基礎物理

前半と後半に分かれていて、前半が量子力学で後半が統計力学だった。どちらも本当に面白い。この学期で一番好きな授業だったと言っても過言ではないが理解できたとは言ってない。前半の講義の試験がPC持ち込み可ネット利用可能で完全に情報戦だった。

前半の量子力学シュレーディンガー方程式をいじいじしていた記憶がある。これは直接的に使っていないが、ここで出てくる球面調和関数が実は3D CADの話題で出てきたことがある。

授業を受けた時は「シュレちゃんの解をなんかいい感じにパラメータを分離して2つの関数の積で表すと球面調和関数っていうのが出てきて〜」くらいの理解だったが、球面上で内積を定義してやると球面調和関数は互いに直交するので、3Dレンダリングの分野ではこれを直交基底として使うみたいな話だった気がする。結構一般的に用いられるんだという話をきいて「ほーん」となった。どこで何が出てくるか分からない。

統計力学は離散的・定性的な話からどんどん統計的・定量的な話が仕上がっていくのが凄く面白かった。ただ今の所あまり使ってはいません。

ディジタル回路

最初はブール演算とかカルノー図をやっていて余裕こいていたら、気づくとわけのわからない論理回路を組まされていた記憶がある。良い思い出。

前期実験でディジタル回路の実験がありそこで使ったが、それ以降あまり直接的には触っていない気がする。

ソフトウェア/プログラミング基礎演習

ポイインタ。どっちがどっちの講義だったかあまり覚えていないが、ロボコンをやっていたので特に苦労はしなかった。

ただリファレンスがほぼWikipediaの英語記事くらいしかないアルゴリズムを実装させられたり、任意の多項式をパースして色んな演算をできるプログラムを実装させられたりして、冬休みが飛んだ記憶がある。

実装は楽しかった。僕の頃はCだけだったが今はPythonもやると聞いて時代を感じている。

エネルギー工学

ほぼ記憶がないが、たぶん送電とかスマートグリッドとかの政治的な話とかそういうのを色々聞いた気がする(先生がそういう先生だった)。

「無効電力とはどういうものか自分の言葉で説明せよ」という課題がとても記憶に残っている。結局正しい答えというのはなくて、一種の哲学的な問いなところが面白い。後にも先にも無効電力について真剣に考えたのはあの時だけだった気がする。位相補償という意味では無線電力伝送の効率の話には深く関わっているので使っているといえば使っている。

電子デバイス基礎

pn接合とか半導体の仕組みとかをひたすらやる講義。式がやたらと出てくるのと、試験がA4のカンペ持ち込み可だったので当時はパズル感覚だったが、もう少しちゃんとやっておけばなぁという後悔がある。

FETをdigikeyとかで選定していると、色んな種類があったり授業で扱ったようなパラメータがたくさん出てきたりするので回路を触りそうな人はちゃんと勉強しておいたほうが良いです。

ただ、どの講義にも言えることだが実際に電子回路を組んだことがない人はピンと来ないとは思う。

電気電子数学演習

工科系の数学を信奉する講義。 院試勉強を先取りしている感…

微分方程式複素関数あたりがメインだったが、電気系で複素関数をめちゃめちゃ真面目に使う分野って制御くらいじゃないだろうか…。有限要素法のシミュレーションでも出てきた気はする。

5学期

憧れの本郷キャンパスに移るも実験がキツいので全てがきつくなった学期。

オタクは控室という居場所を手に入れたが先代がやらかした(?)せいか夜間は閉鎖され路頭に迷うオタクが多発した。

制御工学第一

古典制御。現代制御もちょっと出てきたがほんのちょっとだった。

RoboTechで元々使ってたりはしていても、根軌跡とかナイキスト法とかはあまり知らなかったので勉強になった。制御はもっとちゃんと勉強したい…

アルゴリズム

データ構造の話とか探索の話とかをやった気がしますがなぜかあまり記憶にない…。。競技プログラミングの本とかでぼちぼち勉強したりしてたからかもしれない。

辞書作成・探索のアルゴリズム高速化選手権みたいなのがあった気がするがあまり良い結果が出なかった記憶がある。

電気電子基礎実験

いわゆる前期実験。電気系の分野を片っ端から体験できるので楽しいが、予習とレポートが重くてつらい日々を送っていた。実験は割と班員に任せきりでした(ごめんなさい)。ただ実際に体験したことはすごく記憶に残っているし役に立っている。

初めて真面目にFFTを実装したのがIP電話実験でとても記憶に残っている。あとはアナログフィルタの実験のテキストとかは今でもテキストを参照したりするレベルで役立っている。

コンピュータアーキテクチャ

CPUとかメモリとかの話。メモリのキャッシュの話は少し意識するだけでプログラムがだいぶ高速になったりするので面白い。あとは専門用語が本当に多いので、少し聞いたことがあるだけでもだいぶ違う気がする。

院試で出る確率が高いことが知られていて院試前にも結構勉強した。

信号処理工学

変調・復元方式の話。搬送波とかASKとかPSKとか…(たぶん)

やたらと難しかった記憶がある。この辺は今やろうとしている研究で使おうとしていたりするので、もっとちゃんと勉强しておけばよかった。

ただ電磁波は目に見えないのであまり実感が沸かないし、後期実験で無線実験を選んだりするととても良くわかりそう。1限なのであまり出席できなかった。

半導体バイス工学

4学期の電子デバイス基礎の内容と割と重複している。少し応用寄りな気がする(あまり覚えていない…)。1限なのであまり出席できなかった。と書こうとしたところで2限だったことに気づいた。

数学2G

表面上での微積分の話だったっけ…??数学3だったかもしれない。テンソルとか微分形式の話とかも出てきた気がする。数学系の講義はどこで何をやったか忘れがち(2度目)。東大工学教程のテキストがもらえた気がするが数学3だったかもしれない。

ネットワーク工学概論

TCP/IPの話とか…?結構政治的な話が多かった気もする…。1限だったのであまり出席できなかった。GNU創始者かなにかの人のインタビュー動画を見る回があった。

電気回路理論第二

フィルタの話(伝達関数、ボード線図)とか設計とか。並行して行われている前期実験でもフィルタの回があるが、実験はグループごとのローテーションなので、講義より実験を先にやる人たちは大変だが内容が身にしみて分かるようになる。

電気回路理論第一でやったF行列とかがまた出てきたような気がする。研究でフィルタ周りをやったりしたときは役立った。

電子回路I

鬼門。MOSを組み合わせてカレントミラー〜とか差動増幅回路〜とかがひたすら板書されている光景は分かりそうで分からない、さながらあやとりを見ているようで、一つ一つのステップは辛うじて理解できても全体としては難しくて何も分からなかった。

ただオペアンプのデータシートの回路図とかを見ているとマジでそんな感じなのでたぶんめっちゃ大事なんだと思う。世界観が広がった。試験は2人の先生が担当されていて前半と後半の難易度の差が本当にすごかった。やばかった。

ハードウェア設計論

Verilogで非常にシンプルなCPUのようなものを書いたりする。だいぶ実践という感じで個人的には楽しかった。Web提出の自動添削システムの穴を突いている人がいた。時代はFPGAだと思うので役立てて行きたい。

離散数学

グラフ理論寄りのアルゴリズム。ドロネー/ボロノイ図とかダイクストラ法とかプリム法とかその辺を非常に丁寧に教わった。試験が簡単すぎて優上が多発していた。

この辺りは教養として大事だなと思っている。ドロネー図は電磁界シミュレータのメッシュのアルゴリズムサーベイしていてよく出てきた。あと個人的に駅メモにハマっているのでボロノイ図にはお世話になっている。

電気電子情報工学倫理

倫理を学ぶ。法文一号館にある教室の前で倫理を司る人々から出席票を受け取って感想を書いて提出すると倫理が得られる。倫理を学ぶので不正は当然許されない。単位を取得すると倫理の化身となる。学部でバチェラーオブ倫理になっておくと大学院でもマスターオブ倫理とみなされるので再度履修する必要がなくなる。

メディコンI

毎回企業の人が来て面白い話をするので、面白い感想を書いて提出する講義。楽しい。

6学期

記憶は鮮明になってきたが、何に役に立ったとか振り返る気力が失われてきてだんだん走馬灯らしくなってきた。最後までがんばります。

この辺から講義に出る気力が減衰してくる。特に研究室振り分けに入るのか入らないのかよく分からない講義の点数はまぁいいかとなってくる。 オタクはストレスを抱え、常にキレているオタクが教室前方を占拠し通称"殺害島"を形成したり、単位切り抜刀斎が出没したりした。治安が悪すぎる。

数学3

数学2Gで書いた内容はこっちだったかもしれない。マジで忘れた。数学系の講義はどこで何をやったか忘れがち(3度目)。

国際経済学

国際経済を学ぶ。単位を取得すると国際経済の化身となる。

普通に面白かったし、金融緩和はどう効くのかとか普通に役に立ちそうな話が多かった。経済を回していこうという気持ちになった。

システム工学基礎

待ち行列の話とか故障率の話とか、システムのモデル化の話が主で面白かった。院試の数学の問題で講義で取り扱った問題と似たような出題があって進研ゼミになってしまった。3人付き合って4人目以降で一番良い相手と結婚すると幸せになれるらしい。

システム数理工学

システム工学基礎と名前が似ているがこっちは線型計画問題(シンプレックス法とか)をやる。講義にあまり出ていなかったのであまり記憶がない。

人工知能

課題提出マラソン。最後まで生き残った者が優上を得る。良い回答はテキストに載ったり翌年移行の模範解答として でんどういり するらしい。

無線通信応用工学

M先生が面白い話をしてくれる講義。授業スライドがあるが面白い話とは全く関係がないことで有名。授業の課題も当然面白い話とは関係がない。ただ課題はアンテナ系の問題が多く、意外と今も役に立っている。

計算論

あまり出ていなかったが正規表現とか正規言語とかの話は覚えている。電気系にしてはだいぶ理論よりの講義。そのうち役に立ちそうなオーラを感じる。

映像メディア工学

他の講義とごっちゃになってしまってあまり覚えていないが、画像圧縮の話とか信号処理の話とかだった気がする……

言語・音声情報処理

Hmm………….

難しかったのとあまり音声に興味がなかったので記憶が薄い。ただ言語処理はディープの重要な一分野なので最近話を聞くことが多く、うっすら聞いたことがある程度の知識でもぼちぼち役に立つことがある。

電磁波工学

だんだん人が少なくなっていく授業。裏番組で世界一のエンジニアになる授業があって、そっちを取っていた人が少なくなかった。試験1週間前くらいにテキストが発売されて生協書籍部で購入戦争が勃発した。

スミスチャートやらインピーダンス整合やら内容的には重要なはずなのだが…

ヒューマンインターフェース工学

人間の認知の話や感覚特性の話。人間の感覚は対数で効いてくるとか網膜と解像度の話とか、ユーザーテストの際に使う統計の話とか。かなり広くやってくれたのでためになる内容が多かった。

メディコンII

オムニバス形式でメディコンIよりも学術的な内容。

電子情報機器学

通称BDM。学生同士でハッカソンをやる。赤外線デバイスを作りました。

ここで初めて電子工作をやる学生も多いんじゃないだろうか。eeicのカリキュラム的に電子工作の経験があるかないかでだいぶ学びの質が変わりそうなので、もっと早めにやっておけばなぁと思った。

おわりに

なんとか書き終わりました。長くなってしまいましたがここまでお付き合い頂きありがとうございました。これで成仏できそうです。

こうして見ると、全体的にeeicのカリキュラムってよく出来ているなぁと思いました。電気と情報という深淵をいい感じに網羅している感があります。ただ最後にも書きましたが、電子工作をしたことがない人にはなかなかピンと来ない講義も多いので、適当なハッカソンに参加したりして早めに電子工作を体験しておくのが良いと思います。

最後の方は本当に走馬灯というかただのオタクの懐古みたいになってしまった。これを読んでもう少し勉強しようという気持ちが生まれるかは分かりませんが勉強しようという気持ちになってもらえれば幸いです。